Research

(2024年12月30日現在、更新作業中です。)

研究テーマ

 自然や景観、文化等の保全問題やそれらを含めた地域課題について、その解決への「自発的な関与」(問題解決への意志をもった市民等が、寄付やボランティア、あるいは出資・投資等の形で関与すること)を組織化させる活動や制度に焦点を当てた研究を進めてきました。
 
 こうした「自発的な関与」を組織化した形態(非営利組織等)や、その活動を支える制度的枠組み(公益法人・NPO関連の法制度、寄附税制等)のあり方を実証的・理論的に研究していくことは、地域課題解決のための「新しいお金の流れ」「もうひとつの財政」「新しい公共政策」を検討するものとして、社会的・学問的に重要な意義があると考えています。
 
 上記の問題意識に基づき、特に、修士・博士課程では、「自然保護」における「自発的な関与」を、費用負担論の観点から、現地調査をふまえた分析と理論的検討をおこない、博士論文をとりまとめました。博士課程修了後は、その研究も継続しつつ、特にここ数年は、地域住民による地域資源を活用した地域づくりについて、その主体・合意形成や資金調達に焦点をあてた研究を進めています。

 現在、関心をもって取り組んでいる研究は以下のとおりです。

自然・アメニティ保全における市民参加と費用負担

 大学院時代から継続的に進めている研究です。
 イギリスのナショナル・トラスト、および、日本におけるナショナル・トラスト運動に関する研究をベースとし、自然・アメニティの保全において、市民・住民の「自発的な関与」をいかにして引き出し、費用負担(あるいは資金調達)の問題をどうクリアしていくのか、実態を見ながら理論的な考察を進めています。

 日本におけるナショナル・トラスト運動の代表例であるトトロのふるさと基金(埼玉県と東京都にまたがる里山保全を進めている市民団体)については、2024年現在も評議員として、主体的な関わりを持ち続けています。

地域レベルでの再生可能エネルギーの活用

自然環境の再生と地域発展

 2024年現在、有明海地域をメインフィールドとし、研究室のProjectの一つにも位置付けて取り組んでいます。
 
 有明海地域は、豊かで貴重な自然環境と、その環境の恩恵を受けて形成されてきた地域文化が荒廃の一途をたどり、地域社会の存立が危ぶまれています。しかしながら、訴訟のイメージが濃く、地域住民の関わり、当事者意識が極めて不十分です。
 そこで、本研究では、有明海地域の環境・文化、そして、地域の再生における地域住民参加の課題を整理し、展望を描くことを目的・目標とし、具体的には次の3つの副課題に分けて取り組んでいきます。

(1)有明海の環境と文化の価値とその変容に関して、地域住民間および地域住民と研究者間での知識の共有を行う。
(2)地域住民の関わりによる地域の環境・文化の保全や内発的発展の経験を学び、その知識を共有するために、他地域の現地・聞き取り調査研究を行う。
(3)上記(1)と(2)を有機的に結びつけ、有明海の環境と地域の再生について、地域住民と研究者の共同学習・対話によって、課題整理をするとともに、展望を描く。

なお、この研究に関しては、日本環境会議の主導で進められてきた学際的な検証作業を土台に、2023年8月26日に発足し、藤谷も事務局の一員となっている 「“宝の海”の再生を考える市民連絡会」(略称:「宝の海市民連」)の活動と連携して推進していきます。

伝統文化と地域コミュニティ

竹林の問題と資源としての活用